- 確定拠出年金とはどのような制度なのでしょうか。
- 確定拠出年金が「日本版401k」と呼ばれている理由を教えてください。
- 運営管理機関とはどのような機関なのでしょうか。
- 資産管理機関とはどのような機関なのでしょうか。
- 確定拠出年金の税制について教えてください。
- 2012年1月より導入されたマッチング拠出の概要について教えてください。
Q.確定拠出年金とはどのような制度なのでしょうか。
確定拠出年金は、あらかじめ給付額が確定している厚生年金基金等の確定給付型の年金と異なり、あらかじめ確定している掛金額とその運用益の合計額により事後的に給付額が決定される年金制度です。
企業型年金と個人型年金があり、前者では事業主及び加入者本人(※)が、後者では加入者本人がそれぞれ掛金を拠出します。
運用期間中は加入者ごとに個人別管理資産が明確に区分されており、運用指図も加入者本人が自ら行うこととされています。
(※)マッチング拠出を実施している企業の場合
Q.確定拠出年金が「日本版401k」と呼ばれている理由を教えてください。
米国で代表的な確定拠出年金は、内国歳入法の第401条k項にて税制優遇措置が定められていることから、401kプランと呼ばれています。
これを受ける形で、我が国の確定拠出年金も「日本版401k」と呼ばれることがあります。
米国の401kプランでは、日本の確定拠出年金と異なり、掛金を拠出するのは基本的に従業員であり、事業主が拠出する場合には従業員の拠出に上乗せされる形となります。
Q.運営管理機関とはどのような機関なのでしょうか。
確定拠出年金の運営管理を行う機関であり、運用関連運営管理機関と記録関連運営管理機関に分類されます。
記録関連運営管理機関は、
・氏名・住所・個人別管理資産額等の加入者等に関する事項の記録、保存及び通知
・加入者等が行った運用指図のとりまとめ及びその内容の資産管理機関(または国民年金基金連合会)への通知
・給付を受ける権利の裁定
などを行います。
運用関連運営管理機関は、
・運用の方法の選定及び加入者等に対する提示
・当該運用の方法についての情報提供
などを行います。
Q.資産管理機関とはどのような機関なのでしょうか。
万一、企業が倒産等した場合でも加入者等の個人別管理資産が法的に保全されるよう、企業と資産管理に関する契約を締結している機関です。
信託会社、生命保険会社、農業協同組合連合会、損害保険会社がこの業務を行うことが可能です。
資産管理機関は、加入者等の運用指図をとりまとめた運営管理機関の運用指図に基づく資産の運用等を行います。
Q.確定拠出年金の税制について教えてください。
確定拠出年金の税制については、拠出時・運用時・移換時・給付時に分類できます。
◆拠出時:企業型年金では企業が拠出した掛金は全額損金算入、加入者が拠出した掛金は全額所得控除され、個人型年金では加入者が拠出した掛金は全額所得控除されます。
◆運用時:企業年金の積立金に対しては、年1.173%の特別法人税が課税されます。ただし、現在は課税凍結中(非課税)です。
◆移換時:加入者が離転職し、他の確定拠出年金に個人別管理資産を移換する場合には、税制上の措置が継続されるため、非課税となります。
◆給付時:給付金の種類と受取方法によって取扱が異なります。
● 老齢給付金:
・年金受取の場合は雑所得として公的年金等控除を適用
・一時金受取の場合は退職所得として退職所得控除を適用
● 障害給付金: 非課税
● 死亡一時金: みなし相続財産として相続税の課税対象
● 脱退一時金: 一時所得として所得税、個人住民税の課税対象
Q.2012年1月より導入されたマッチング拠出の概要について教えてください。
マッチング拠出とは、企業型年金において、事業主が拠出する掛金と合わせて、法定限度額の範囲内で従業員本人が掛金を追加して拠出することをいいます。
- 掛金額について
従業員が拠出する掛金の限度額は、法令により以下のとおりに規定されています。
・厚生年金基金の加入員、確定給付企業年金の加入者等の者:事業主掛金との合算額が月額25,500円以内、且つ事業主掛金額を超えないこと
・上記以外の者:事業主掛金との合算額が月額51,000円以内、且つ事業主掛金を超えないこと - 税制について
従業員が拠出した掛金は、全額所得控除の対象となります。
- 拠出限度額について教えてください。
- 掛金の拠出は何歳まで可能ですか。
- 事業主返還について教えてください。
- 運用益や運用損が生じている場合、返還額はそれぞれどのようになるのですか。
- 自動移換とは何ですか。
- 自動移換された場合でも、運用の指図や給付の支給の請求は可能なのでしょうか。
- マッチング拠出を導入した際の事業主の主な役割について教えてください。
Q.拠出限度額について教えてください。
企業型年金、個人型年金のそれぞれにつき、法令により以下のとおりに規定されています(2012年1月1日現在)。
- 企業型年金
・厚生年金基金の加入員、確定給付企業年金の加入者等の者:月額25,500円
・上記以外の者:月額51,000円 - 個人型年金
・自営業者等:月額68,000円(国民年金基金等に加入している場合には、その掛金等の額を控除した額)
・60歳未満の厚生年金保険の被保険者(企業型年金加入者、厚生年金基金の加入員等を除く):月額23,000円
※マッチング拠出実施企業においては、上記限度額は事業主掛金と加入者掛金の合計額を指します。なお、加入者掛金を拠出する場合は、加入者掛金の額が事業主掛金の額を超えないように設定する必要があります。
Q.掛金の拠出は何歳まで可能ですか。
現行法令上、企業型年金・個人型年金ともに、60歳に到達した場合には加入者資格を喪失して運用指図者となるため、それ以降の拠出はできません。
なお、企業型年金において、加入者資格を喪失する年齢は、年金確保支援法(2011年8月10日公布)において、2011年8月10日から2年6ヶ月以内で政令で定める日までに、最長65歳まで引き上げられることが決まっています。
Q.事業主返還について教えてください。
企業型年金の加入者が、勤続期間3年未満で退職した場合、その者の個人別管理資産のうち、事業主が拠出した掛金の全部または一部を事業主に返還する旨を規約で定めることができます。
「勤続期間3年未満」については、企業型年金の加入期間ではなく、従業員が事業主に使用された期間が問題となります。企業型年金の加入期間が1年であっても、事業主に使用された期間が3年以上であれば、いかなる退職事由であろうとも事業主掛金の返還は認められません。
また、事業主に使用された期間が3年未満であっても、次の者については、事業主掛金の返還は認められません。
(1)企業型年金加入者資格喪失日においてその企業型年金の障害給付金の受給権者である者
(2)以下に掲げる事項に該当したことにより、企業型年金加入者の資格を喪失した者
・死亡したとき
・その使用される事業所又は船舶が、実施事業所でなくなったとき
・企業型年金規約により定められている資格を喪失したとき
・60歳に到達したとき
なお、返還対象となるのはあくまで事業主が拠出した掛金であるため、マッチング拠出における加入者掛金や、他の企業型年金および既存の退職給付制度からの移換金は返還対象外です。
Q.運用益や運用損が生じている場合、返還額はそれぞれどのようになるのですか。
事業主が返還を求めることができる額は、
・事業主が拠出した掛金額
・事業主に資産を返還する日における個人別管理資産額(当該事業主掛金を原資とする部分の額に限る)
のいずれか少ない額となります。
- 運用益が生じている場合
事業主が拠出した掛金額が20万円で、返還日の個人別管理資産額が25万円の場合には20万円が返還額となります。運用益の5万円については返還対象外です。 - 運用損が生じている場合
運用により損失が生じて、返還日の個人別管理資産額が15万円に目減りしていた場合、15万円が返還額となります。事業主は加入者に対して損失分の5万円の補てんを求めることはできません。
なお、マッチング拠出を行っている加入者の事業主返還額については、以下の取扱いとなります。
- 個人別管理資産額が事業主掛金額累計と加入者掛金額累計の合計を上回っている場合
事業主が拠出した掛金額が20万円、加入者が拠出した掛金額が20万円で、返還日の個人別管理資産額が50万円の場合には20万円が返還額となります。 - 個人別管理資産額が事業主掛金額累計と加入者掛金額累計の合計を下回っている場合
事業主掛金額と加入者掛金額との按分計算により事業主返還額を算出しますので、上記のケースで返還日の個人別管理資産額が30万円に目減りしていた場合には15万円が返還額となります。
Q.自動移換とは何ですか。
60歳前に企業を退職され、企業型年金の加入者資格を喪失された場合、資格喪失された翌月から起算して6ヶ月以内に、他の企業型年金または個人型年金に個人別管理資産を移換するお手続きが必要となります。このお手続きをされなかった場合、個人別管理資産は自動的に売却・現金化され、国民年金基金連合会に移し換えられることになります。これを自動移換といいます。
Q.自動移換された場合でも、運用の指図や給付の支給の請求は可能なのでしょうか。
自動移換された場合、個人別管理資産は現金で管理され、掛金の拠出や、運用の指図、老齢給付金・障害給付金の請求は行うことができません。
また、その後、企業型年金または個人型年金に移換のお手続きを行う場合には、通常必要となる手数料に加え、特定運営管理機関の手数料が必要となります。
Q.マッチング拠出を導入した際の事業主の主な役割について教えてください。
マッチング拠出を導入した事業主が行う主な役割として、以下が挙げられます。
・マッチング拠出に係る規約の策定、変更および届出
・毎月の加入者掛金の給与控除および資産管理機関への納付
・毎月の掛金(事業主掛金および加入者掛金)の拠出限度額管理
・加入者掛金における年1回の任意変更回数の管理
・加入者掛金の控除に関する計算書の作成および加入者への通知
- 給付金にはどのような種類がありますか?
- 老齢給付金はいつから受取れるのでしょうか?
- 通算加入者等期間とは何でしょうか?
- 老齢給付金の請求は、受給開始年齢になったらすぐに手続きをしないといけませんか?
- 障害給付金の受給要件を教えてください。
- 私が死亡した場合、私の年金資産はどうなるのでしょうか?
- 企業を退職(60歳前)した場合に、給付を受けて制度から脱退することは可能なのでしょうか。
- 2005年10月から、脱退一時金の支給要件はどのように緩和されましたか?
Q.給付金にはどのような種類がありますか?
確定拠出年金の給付金には、以下の4種類があります。
(1)老齢給付金(年金・一時金):60歳に到達した後に、所定の通算加入者等期間を有する場合にお受け取りになれます。
(2)障害給付金(年金・一時金):傷病等により高度障害の要件に該当することとなった場合にお受け取りになれます。
(3)死亡一時金:ご本人がお亡くなりになった場合に、ご遺族の方がお受け取りになれます。
(4)脱退一時金:上記(1)(2)(3)以外で、離転職等で確定拠出年金に加入できなくなり、所定の要件を満たした場合に、例外的にお受け取りになれます。
Q.老齢給付金はいつから受取れるのでしょうか?
確定拠出年金への加入期間(通算加入者等期間といいます。)のうち、60歳になるまでの期間が10年以上あれば60歳から老齢給付金をお受取りいただけます。
ただし、10年未満の場合は、
・8年以上であれば61歳から
・6年以上であれば62歳から
・4年以上であれば63歳から
・2年以上であれば64歳から
・1ヶ月以上であれば65歳から
老齢給付金の受給資格が得られます。
具体的な受給資格開始年月日につきましては、60歳を迎えられた後、当社からお送りする書類(企業型年金の場合は「加入者資格喪失及び運用指図者資格取得通知書」、個人型年金の場合は「60歳を迎えられた皆様へ」)に記載されておりますのでご確認ください。
Q.通算加入者等期間とは何でしょうか?
以下の期間を合算した期間のことで、老齢給付金の受給資格を判断するためのものです。
・企業型年金加入者期間
・企業型年金運用指図者期間
・個人型年金加入者期間
・個人型年金運用指図者期間
・制度移行がある場合は、移行された制度での加入期間(その者が60歳に達した日の前日が属する月以前の期間に限ります。)
通算加入者等期間(上記期間を合算した期間のうち60歳になるまでの期間)につきましては、60歳を迎えられた後、当社からお送りする書類(企業型年金の場合は「加入者資格喪失及び運用指図者資格取得通知書」、個人型年金の場合は「60歳を迎えられた皆様へ」)に記載されておりますのでご確認ください。
Q.老齢給付金の請求は、受給開始年齢になったらすぐに手続きをしないといけませんか?
受給資格開始日(※)から70歳の誕生日の2日前までは、いつでもご請求いただけます。
ただし、老齢給付金のご請求を行わないで70歳に達したときは、資産管理機関(個人型の場合は事務委託先金融機関)が記録関連運営管理機関の裁定に基いて、老齢給付金の支給を行います。
(※) 具体的な受給資格開始年月日につきましては、60歳を迎えられた後、当社からお送りする書類(企業型年金の場合は「加入者資格喪失及び運用指図者資格取得通知書」、個人型年金の場合は「60歳を迎えられた皆様へ」)に記載されておりますのでご確認ください。
Q.障害給付金の受給要件を教えてください。
加入者(運用指図者等の加入者であった方を含みます)が法令で定められた程度の障害状態(※)に該当したときに障害給付金を受給することができます。
(※) 次の条件を満たした場合に、「法令で定められた程度の障害状態」に該当すると認定されます。
・ 障害基礎年金の受給者(1級および2級の方に限ります。)
・ 身体障害者手帳(1級から3級の方に限ります。)の交付を受けた方
・ 療育手帳(重度の方に限ります。)の交付を受けた方
・ 精神保健福祉手帳(1級および2級の方に限ります。)の交付を受けた方
なお、障害給付金のご請求の期限は、70歳の誕生日の2日前までとなります。
Q.私が死亡した場合、私の年金資産はどうなるのでしょうか?
お亡くなりになられた場合には、ご遺族は死亡一時金の裁定請求を行うことができます。
加入者があらかじめ配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹の中から死亡一時金の受取人を指定していた場合は、その方が受取人となります。
加入者があらかじめ死亡一時金の受取人を指定していなかった場合は、法令により次のとおり順位が定められています。
(1) 配偶者(死亡の当時、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含みます。)
(2) 子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹であって、死亡の当時、主としてその収入によって生計を維持していた者
(3) 上記(2)の者のほか、死亡の当時、主としてその収入によって生計を維持していた親族
(4) 子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹であって、上記(2)に該当しない者
※ 同じ順位内であればその並んでいる順番により順位が定められます。
※ 同順位者が2人以上いる場合は、その人数によって死亡一時金を等分して受け取ることになります。(実務上、お支払いは代表者様に一括して行われます。)
Q.企業を退職(60歳前)した場合に、給付を受けて制度から脱退することは可能なのでしょうか。
原則として、60歳に到達するまで老齢給付金を受給することはできませんが、例外的に、一定の要件を満たした場合には脱退一時金を受給することができます。
以下の(A)(B)いずれかの場合により、条件が異なります。
(A) 下記の要件をすべて満たしている場合
企業型記録関連運営管理機関に脱退一時金の支給を請求することが可能です。
(1)企業型年金加入者、企業型年金運用指図者、個人型年金加入者又は個人型年金運用指図者でないこと。
(2)当該請求を行った日の属する月の前月末における個人別管理資産の額として政令で定めるところにより計算した額が1.5万円以下であること。
(3)当該企業型年金加入者の資格を喪失した日の属する月の翌月から起算して6ヶ月を経過していないこと。
(B) 下記の要件をすべて満たしている場合
個人型運用指図者の方は個人型記録関連運営管理機関に、個人型運用指図者以外の方は国民年金基金連合会(特定運営管理機関)に脱退一時金の支給を請求することが可能です。
(1)60歳未満であること。
(2)企業型年金の加入者でないこと。
(3)個人型年金の加入者となる資格がないこと。(※1)
(4)障害給付金の受給権者でないこと。
(5)通算拠出期間(※2)が1ヶ月以上3年以下であること又は当該請求を行った日の属する月の前月末における個人別管理資産の額として政令で定めるところにより計算した額が50万円以下であること。
(6)最後に企業型年金加入者または個人型年金加入者の資格を喪失した日から起算して2年を経過していないこと。
(※1) 例えば、次の場合等が該当します。
(A) お勤め先に企業型の確定拠出年金制度がある場合。
(B) お勤め先に企業型の確定拠出年金制度がなく、厚生年金基金・適格退職年金(2012年3月末で廃止)・確定給付企業年金のいずれかがある場合。
(C) 公務員等、共済組合・共済制度の加入者となった場合。
(D) 第2号被保険者の扶養(専業主婦等)となった場合。
(※2) 企業型年金加入者期間(他の企業年金等からの制度移行により通算加入者等期間に算入された期間を含みます。)および個人型年金加入者として掛金を拠出した期間を合算した期間のことをいいます。
Q.2005年10月から、脱退一時金の支給要件はどのように緩和されましたか?
上記回答と重複しますが、下記のとおりです。
(1)個人別管理資産額が1.5万円以下の場合
企業型年金加入者の資格を喪失した日の属する月の翌月から起算して6ヶ月以内であれば、脱退一時金の請求が可能となりました。(ただし、企業型年金加入者・運用指図者、個人型年金加入者・運用指図者でないことが条件です。)
(2)個人別管理資産額が50万円以下の場合
通算拠出期間が3年超であっても脱退一時金の請求が可能となりました。(ただし、それ以外の2005年10月以前の請求要件は全て満たされていることが必要です。)
