給付金をお受け取りになる方
確定拠出年金制度の給付には、原則として老齢給付金(年金・一時金)・障害給付金(年金・一時金)・死亡一時金があり、例外的取扱として脱退一時金があります。それぞれの詳細は以下のとおりとなります。
I.老齢給付金
加入者の方が以下の支給要件を満たす場合、老齢給付金の支給を請求することが可能です。
1.支給要件について
(1)企業型年金に加入されている方
加入者の方が規約に定める加入者資格喪失年齢に到達、または60歳以降に企業を退職したこと等により加入者資格を喪失し、所定の通算加入者等期間(※)を満たす場合、老齢給付金のご請求が可能です。なお、60歳以上で新たに加入者資格を取得する等により通算加入者等期間がない場合は、加入日から5年経過後に老齢給付金のご請求が可能です。
(2)個人型年金(iDeCo[イデコ])に加入されている方
加入者の方が60歳以降に加入者資格を喪失し、所定の通算加入者等期間(※)を満たす場合、老齢給付金のご請求が可能です。なお、60歳以上で加入者または運用指図者の資格を新たに取得する等により通算加入者等期間がない場合は、加入者または運用指図者の資格取得日から5年経過後に老齢給付金のご請求が可能です。
- 通算加入者等期間(※)の支給要件については、下表をご確認ください。
- 請求期限は75歳の誕生日の2日前までとなります。
2022年4月1日以前に70歳の誕生日を迎える方の請求期限は、70歳の誕生日の2日前までとなります。
通算加入者等期間 | 請求可能年齢 |
---|---|
10年以上 | 60歳から |
8年以上 | 61歳から |
6年以上 | 62歳から |
4年以上 | 63歳から |
2年以上 | 64歳から |
1ヶ月以上 | 65歳から |
※通算加入者等期間とは、次に掲げる期間を合算した期間のうち、60歳になられるまでの期間のことをいいます。
- 企業型年金の加入者期間および運用指図者期間
- 個人型年金(iDeCo[イデコ])の加入者期間および運用指図者期間
- 他の年金制度からの制度移行があった場合は、資産の移換の対象となった期間
なお、重複する場合は、いずれかの期間のみ通算されます。また、確定拠出年金以外へ移換した場合、企業型年金および個人型年金の加入者期間(掛金拠出のあった期間)と制度移行や脱退一時金相当額の移換に伴い確定拠出年金に算入された期間は控除されます。
2.お支払いまでの流れについて
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老齢給付金 受取方法の決定 |

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裁定請求書類の提出 |

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裁定結果の通知 |

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お支払い |
3.税制上の取扱いについて
(1)老齢年金の場合
- 老齢年金として支給される場合は、ほかの公的年金や厚生年金基金などと同じく「雑所得」とみなされて、所得税の課税対象となります。
- 公的年金等控除が適用され、税制上の優遇措置がとられます。
- お支払い時には、一律、次の計算式による所得税が源泉徴収されます。源泉徴収された所得税額と、一年間の総所得に基づく所得税額との差額について「確定申告」により精算することになります(詳しくは所轄税務署にご照会ください)。
- 所得税法の定めにより、年金のお振込時に次の計算式による所得税が源泉徴収されます。西暦2013年1月1日から西暦2037年12月31日までの所得に関しては、所得税に2.1%を乗じた復興特別所得税が、所得税に合わせて源泉徴収されます。(計算式下線部分)
(2)老齢一時金の場合
- 一時金として受給される場合は、退職金と同じく「退職手当等」とみなされて、税制上の優遇措置がとられています。
- 老齢一時金の金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1が、課税退職所得金額となります。
- 勤続年数が5年以内である場合、「短期退職手当等」とみなされます。
短期退職手当等の収入金額が300万円+退職所得控除額を超えていない場合、一般退職手当等と同様、全て1/2課税となります。
短期退職手当等の収入金額が300万円+退職所得控除額を超えている場合、超えた部分の収入金額のみ、1/2課税の対象になりません。
退職所得控除額は、一般退職の場合におけるものと同じ、下表のとおりとなります。
詳細については、最寄りの税務署または市区町村の窓口にお問い合せください。
一般退職の場合における退職所得控除額は下表のとおりとなります。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数(最低80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
- 掛金の払込期間が勤続年数とみなされます。従前の企業年金等からの制度移行があった場合には、その制度移行により算入された期間を含みます。
- 本年および前年以前19年以内に別途退職手当等が支給されている場合は、退職所得控除額の調整が行われます。
※上記内容は2022年5月1日現在のものです。
II.障害給付金
加入者または加入者であった方が、傷病等によって高度障害の要件に該当することとなった場合、障害給付金の受給権者となり、障害給付金の支給を請求することが可能です。
1.支給要件について
- 政令で定める程度の障害の状態となった場合、「障害認定日」から70歳の誕生日の2日前までの期間内において、障害給付金を請求することができます。
(法令改正に伴い、2022年4月2日以降に70歳の誕生日を迎えられる方の請求期限は、75歳の誕生日の2日前までとなります。) - 「障害認定日」とは、病気またはケガによって初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)から起算して1年6ヶ月を経過した日(その期間内に傷病が治った場合はその日)のことをいいます。
- 「政令で定める程度の障害の状態」とは、次のような状態をいいます。
- (1)障害基礎年金の受給者(1級および2級の者に限る)
- (2)身体障害者手帳(1級~3級までの者に限る)の交付を受けた者
- (3)療育手帳(重度の者に限る)の交付を受けた者
- (4)精神保健福祉手帳(1級および2級の者に限る)の交付を受けた者
2.お支払いまでの流れについて
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障害給付金 受取方法の決定 |

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裁定請求書類の提出 |

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裁定結果の通知 |

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お支払い |
3.税制上の取扱いについて
障害給付金は非課税扱いであるため、確定申告の必要はありません。
III.死亡一時金
加入者または加入者であった方が亡くなられた場合には、ご遺族の方に死亡一時金が支給されます。
1.支給要件について
- 加入者または加入者であった方ご本人がお亡くなりになった場合に、ご遺族の方は死亡一時金の裁定請求を行うことができます。
- ご本人があらかじめ配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹の中から死亡一時金の受取人を指定していた場合には、その方が受取人となります。
- 上記の指定がない場合には、法令に基づき以下の順位で受取人となります。
順位 | 法令に基づく受取人 |
---|---|
(1) | 配偶者(死亡の当時、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。) |
(2) | 子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹であって、死亡の当時、主としてその収入によって生計を維持していた者 |
(3) | (2)の者のほか、死亡の当時、主としてその収入によって生計を維持していた親族 |
(4) | 子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹であって、(2)に該当しない者 |
※同順位内であれば、その並びの順番により順位が定められます。
※同順位者が2人以上いる場合(例:子が2人)は、死亡一時金はその人数によって等分して支給されます。(実務上は、代表者の方に一括して支給されます。)
※ご本人がお亡くなりになってから5年間裁定請求が行われない場合、死亡一時金を受け取るご遺族の方がいないものとみなされ、亡くなった方の相続財産とみなされます。(確定拠出年金の死亡一時金としてのお受け取りはできなくなります。)
2.お支払いまでの流れについて
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裁定請求書類の提出 |

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お支払い |
3.税制上の取扱いについて
- 死亡後3年以内に支給が確定した場合は、相続税の対象となります。
- 相続税法上はみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として法定相続人1人あたり500万円まで非課税となります。
※上記期間以外は、適用される税法が異なりますので、詳しくは所轄税務署にご照会ください。
IV.脱退一時金
確定拠出年金制度では、原則として60歳まで老齢給付金を受給できませんが、加入者であった者が、制度への加入ができなくなった場合等、法令等に定められた一定の要件を満たすことにより、例外的に脱退一時金の受給が可能となります。
1.お支払いまでの流れについて
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裁定請求書類の提出 |

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裁定結果の通知 |

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お支払い |
請求先 | 企業型記録関連運営管理機関 | 個人型記録関連運営管理機関 | 国民年金基金連合会(※) |
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根拠法 | 確定拠出年金法附則第2条の2 | 確定拠出年金法附則第3条 | |
裁定請求書類の入手先 |
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裁定請求書類の提出先 |
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裁定結果の通知元 |
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※具体的な事務は、国民年金基金連合会からの業務委託を受けている特定運営管理機関(弊社)が行っております。
2.税制上の取扱いについて
脱退一時金の額を含めて年間の一時所得の合計額が50万円以下であれば非課税となりますが、50万円を超過している場合には一時所得として課税対象となります(総合課税)。この場合、一時所得の金額は以下の計算式によって算出します。
上記金額の2分の1に相当する金額を他の所得(例:給与所得)と合算して総所得金額を求め、税率を乗じて税金の額を計算します。